俄歩
高嶺を歩けなくなったいまでも 「自然と向き合える体力 自然を味わえる感性 自然に応えられる知力を大切にしたい」  という心根は持ち続けていたいものです
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俄歩人 (がふと)

Author:俄歩人 (がふと)
高嶺は2013年9月の槍ヶ岳が
最後となりました。
いまは 季節の移ろいを想い出
の地に求めて彷徨しています。
年に一度、写真集「岳と花」を
記載。
(さいたま市 浦和 在住)



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燕岳~大天井岳~常念岳~蝶ヶ岳
「山行クロニクルNo.15」
有明温泉~燕岳~大天井岳~常念岳~蝶ヶ岳~三股  縦走    単独
’07年9月30日(日)~10月4日(木)  4泊5日

 北アルプス北部の山行の往き帰りに糸魚川街道を走ると、安曇野から見る峰々の中でも前山の奥に
常念岳はひと際 顕著な三角形の山容を覗かせている。
至近の距離では、初冬の穂高岳山荘のテラスで常念山脈に昇る朝日を眺めたときもその優雅な美しさ
には心惹かれるものがあった。

 夏の高山蝶、ミヤマモンキチョウやタカネヒカゲで知られるこの常念岳にどのようなルートで
秋の山歩きを楽しむか・・・と考えた結果、
中房温泉からの表銀座ルート、燕岳を皮切りに大天井岳から常念山脈に分け入ることとした。

(写真はクリックして拡大してください)

DSCF1540.jpg DSCF1551.jpg DSCF1570.jpg
常念岳           奇岩と紅葉         穂高の岩峰
  
9.30(日) 浦和=中央道豊科IC=有明温泉・有明荘(泊)
10.1(月) 有明温泉~中房温泉登山口~合戦沢の頭~燕山荘(泊)
   2(火) 燕岳~切通分岐~大天井岳~東天井岳~常念乗越・常念小屋(泊)
   3(水) 常念乗越~常念岳~蝶槍~蝶ヶ岳~蝶ヶ岳ヒュッテ(泊)
   4(木) 蝶ヶ岳ヒュッテ~蝶沢~三股ー有明温泉=浦和

 9.30(日)第一日目
 土砂降りの雨の中、信州穂高町 有明へ向かう。旧有明村から有明温泉と中房温泉への県道は
昔より随分整備され、崖を削り、幅員や遂道が拡張され走りやすくなっていた。
20年前、岳には登らなかったが、中房の湯に妻と連泊したことがあり 有明温泉付近の照葉樹林帯
は今も見事。手付かずのまま雨に煙っていた。
妻は帰路、この森で笹の葉を沢山摘んで帰り、冷凍して料理の飾りとしてしばらく使っていた。

 今日は中房の手前、有明温泉に前泊することとし、源泉掛け流しの単純硫黄泉を楽しんだ。
有明山の山懐1400mにある建物はロッジ風に立派になっていたが湯は昔と変わらず滔々と溢れていた。

                     有明温泉の湯  DSCF1582.jpg DSCF1581.jpg

 10.1(月)第二日目
 小雨。朝8時、中房温泉登山口(1460m)から燕山荘(2685m)まで、標高差1200mを稼ぐ為に
歩き始める。前後は無人。
混交林のなかの比較的整備された急登をひたすら喘ぐ。第一、第二ベンチを過ぎ第三ベンチで煙草を
楽しんでいると同世代のご夫婦が登って来た。挨拶を交わすうちにどうやら私と同じルートを蝶ヶ岳
まで歩くことが判る。お互いにこれからの三日間をよろしくということで先行して貰う。私より健脚そうだ。

DSCF1526.jpg

 合戦小屋 11時。まだ紅葉はさほど進んでおらず雨に濡れたナナカマドの実だけが赤い。
簡単な昼食を作り、大休止。また一人、若者が登ってきたのを潮に出発、急登を攀じり、
合戦沢の頭の三角点を撫で、2500mの森林境界線を越え稜線に出る。
左右を見回してもガスで視界は利かず、黄色や褐色の草々が生える黄ばんだ砂礫のよく踏まれた道
を黙々と登る。全方位ガスの中、燕山荘 1時30分着。
 
 指呼の間の燕岳も全く見えない。宿泊手続きを済ませ、生ビールを飲みながらガスの切れ目を待つ。
小屋前のテラスで待機していると お腹の丸々と太った小鳥が二羽、何か啄ばみながら遊んでいる。どうやらイワヒバリのようだがこんなに丸々としたのは初めて。小屋番に聞いたらやはりイワヒバリ
との答え。太ってしまった原因は登山客の食べかすを拾うのでこんなになってしまったようだ。
あれで舞い上がれるのだろうかと大笑い。
 先行したご夫妻が燕岳から戻ってきて、視界はゼロ、風化した花崗岩の有名な奇岩もすぐ近くに
行かないと判然としないとのこと。 興味を失い、喫茶室へ。
 
 三重県四日市からこの山だけに登ってきた男女5人組と歓談。そこに合戦小屋で会った若者も
加わり夕食まで酒宴。この若者、昨日、木曾の駒ヶ根で開催された市民マラソンの15キロコースに
参加、中房に泊まり、初めて山らしい山に登る為にここまで来たと言う。
広島から車を飛ばして来てマラソンと登山、明日は下山後また広島まで7時間をかけて帰るそうだ。
マラソン参加の為とはいえ広島からとは・・・やはり若さは凄い。
 
 この夜は、槍ヶ岳から縦走してきた単独行の女性、大天井岳まで往復するという男女4人組みの
合わせて13人の泊り客。
一晩中雨の音が続きあまり眠れず。

 10.2(火)第三日目
 やはり雨とガス。4時半起床、レトルトシチューと固形食糧、コーヒーで朝食を済ます。
6時過ぎまで待機するが変化なし。予報より太平洋上の低気圧の影響が強いようだ。
西高東低の冬型気圧配置であるが、まだ安定していないのだろう。

 先行したご夫妻の後を追って、6時30分、小屋を出て視界の無い尾根を歩き出す。
蛙岩付近で雷鳥の親子4羽に出遭う。  
DSCF1528.jpg
 ヒナはもう大きく育ち、成鳥とほとんど変わらず、皆、胸から腹にかけて
冬の白毛に変わりはじめていた。 しばし、煙草を吸いながら彼らとともに楽しむ。

 大くだりを一気に降り鞍部を過ぎ、崩れやすい花崗岩のザラザラ尾根を左右にクサモミジの色を
味わいながら淡々と歩を進める。相変わらず視界は100m前後、眺望の楽しみはほとんど無い。

DSCF1527.jpg DSCF1530.jpg DSCF1532.jpg DSCF1533.jpg
登山道 点描

 変化が欲しいなあと想う頃、切通岩のクサリ場に出る。槍ヶ岳への新道を拓いた喜作のレリーフが
岩に嵌め込んである。ひと登りで切通分岐点、小休止。
ここで表銀座ルートと別れ、大天井岳方面 常念山脈に分け入る。

DSCF1531.jpg 喜作のレリーフ

 大天井岳(2921m)直下の大天荘まで結構きつい登り。視界の利かない登りは辛い。
5分毎に息を整える。10時少し前大天荘に着きてんぷらうどんを注文。
小屋前のベンチで暖かいうどんを味わい、雷鳥の散歩を遠目に見ながら大休止。
本来ならば、越中側の黒(水晶)岳、鷲羽岳や近くに東鎌尾根を曳いた槍ヶ岳、行く手の東天井岳・
常念岳などが大きく眺められる筈の展望は一切無し。

 大天井のピークも踏まず11時小屋を後にする。
何となく不完全燃焼。ここからは東天井岳まで2800~2900mの稜線歩き、晴れていれば
最も眺望の良い所なのに・・・。残念。

DSCF1535.jpg ガスの稜線

 中天井岳、東天井岳をそれぞれ右に巻き、横通岳にかかるころから一面のハイマツ帯。
前後左右ハイマツの海の中、切り明けを辿る。視界はますます悪くなる。
所々ハイマツの切り明けが分岐したり、合わさる。
分岐点には廃道の小看板がありホッとする。遠見が利かないのでこの表示が無ければ迷いそうだ。
30分以上もハイマツの波を泳ぐように切り明けを辿る。単調さを楽しむ。下りが少し急になり
オオシラビソの小樹林に這入る。

 雨水の流れる樹間の道を抜けるといきなり広い砂礫の常念乗越へ飛び出し、小屋の赤い屋根が
目に入る。2時半過ぎ、宿泊手続きを済ませ着替える。
休憩も含めて8時間の行程。雷鳥とクサモミジ ハイマツの海だけが単調さを癒してくれた感じ。
二階の6畳間をあてがわれたが一人で専有できそう。隣の部屋に入っていた先行のご夫妻と
お互い明日に期待しましょう と挨拶。
部屋の窓を開けカメラをいじっていたら、屋根にキクイタダキがいてあわててパチリ。額の黄菊色が鮮やか。
  
                                                DSCF1536.jpg
 
 食堂に生ビールを飲みに下りたら、若者が15,6人宴会の最中。松本の会社の新入社員の恒例
研修登山だとか。
夕食は中房から二日間ずっと同じ行程のご夫妻と今日、ヒエ平から常念乗越にあがってきた30歳
前後、なかなかの好青年と同テーブル。ご夫妻は大阪から、青年は私の住む浦和の隣町、埼玉の
越谷から。 明日は4人とも常念岳を越えて蝶ヶ岳への道。

 食後、創立88周年を迎えた常念小屋の小屋主 山田氏の挨拶があり、記念の木札が配られた。
北アルプスでは白馬山荘の102年、槍沢ロッジの91年に次ぐ小屋歴だそうだ。
雨音を聴きながら8時就寝、一人部屋なのにあまり熟睡できず。

 10.3(水)第四日目
 やっと雨が上った、曇天。
朝食はレトルトカレー、とお馴染みの固形食糧、大事に残しておいたみかん、そしてコーヒー。
自炊室で雲が切れるのを待つ。常念の頂き、西の槍ヶ岳が見え始めた7時、勇躍、標高差400mの
岩場の登りにとりかかる。標準行程1時間のところ1時間30分を要した。

DSCF1540.jpg DSCF1539.jpg DSCF1543.jpg DSCF1544.jpg
乗越から常念岳     ガスに霞む槍ヶ岳     雲の切れ目に穂高     山頂

 一等三角点を持つ頂上の祠の脇で、大阪のご夫妻、越谷の青年と一緒に大休止。
あっという間に槍ヶ岳は雲の中、穂高の嶺々が、左から前穂奥穂、涸沢、北穂、そして大キレット、
南、中、大喰と雲の切れ目からスライドのように慌ただしく覗いてはまた隠れる。
それでも稜線、三日目にして僅か10分間のドラマ、満足感が込み上げ煙草がおいしい。

 9時過ぎ、蝶ヶ岳を越え長塀山を経て徳沢に降る長丁場の大坂の夫妻が出発、30分遅れて私、
そして越谷の青年と続く。こちらは二人とも本日は蝶ヶ岳までののんびり歩き。

 ガスの湧き始めたゴーロ状の岩場を一気に300mの降り。またまた雷鳥の一家に出遭う。
     
DSCF1548.jpg

 燕山荘以来、4度目の出遭い。それだけ天候に恵まれなかったということか。岩峰の小ピークを
越える途中、奇岩と紅葉が美しい。
                                 DSCF1550.jpg DSCF1551.jpg

 視界が落ち、往く手の蝶槍も右手の穂高の壁も見えない。2つ目の小ピークで小休止。
追いついてきた青年と会話が弾む。昨年、穂高の初降雪の時、同時期に涸沢に滞在していたことが
解かり涸沢の紅葉と雪の穂高が尽きぬ話題となった。まだ独身、バリバリの現役なので限られた
休暇を利用しての山行ゆえ、私のように天気図とにらめっこしながら、また停滞して楽しむ余裕が無い
ことを残念がっていた。

DSCF1555.jpg 蝶槍

 ここから一旦、2300mまで降ろされ、再び2600mの蝶槍を目指す。鞍部で健脚の青年に先行し
て貰い、蝶槍への急登を頑張る。
蝶槍の頂き、さらに蝶ヶ岳の三角点で一服。雨は落ちないが少し強くなった風の中、ヒュッテへ向かう。
 真っ白いガスに巻かれた蝶ヶ岳ヒュッテ着、1時30分。小屋には上高地 徳沢から、また旧堀金村
三股からそれぞれ槍・穂高の絶景を眺めに登ってきた50人近い登山者で賑わっていた。

 夕方から小雨なるも気圧配置はまずまず、皆、明日への期待値を膨らませる。
また喫茶室で青年と歓談。涸沢まで行っても穂高はまだ、白馬も薬師も鹿島槍もこれから、
雲の平の奥、高天原の露天風呂に浸かってみたいという彼、いろいろ聞かれたのでもし暇があったら
私の山行クロニクル「俄歩」を見てください とブログのアドレスを書いて渡した。
下山したら早速覘いてみますと言ってくれた。コメントが貰えたら嬉しいのだが・・・。
明日は徳沢へ降り、上高地からバスで帰るという。

 夕食はあまり食欲無し。麓のタクシー会社へ電話、明日の三股から有明までの予約をし、
持参のウイスキーを煽り寝に就く。寝苦しく3時頃から星が見えるのを確認する。


 10.4(木)第五日目
 晴れ。5時、安曇野は雲海の下、向かい側、槍・穂高の岩峰が黒々と壁を並べる。
黒壁の中、槍の肩の小屋、白出しのコルの穂高岳山荘の灯りが美しく輝く。
5時45分、安曇野の雲海からご来光が射す。
槍・穂高の岩峰が赤く輝き始める。皆、満足。体が冷えるのも忘れて見とれている。

DSCF1567.jpg DSCF1564.jpg
安曇野の雲海に     モルゲンロートに輝く穂高
       昇る朝陽    

DSCF1572.jpg
蝶ヶ岳の新しいピーク

 7時、ヒュッテ裏の新しい蝶ヶ岳最高点(2677m)を踏んで三股への下山にかかる。
蝶沢までの2キロはゴロ太石の急坂。蝶沢から眺める常念岳は前常念の稜線を右に曳き美しい。
小休止。

DSCF1576.jpg 蝶沢から仰ぐ常念岳

 久し振りに小鳥の声が、樹林の中清々しい。良く聞き分けられないほどだ。
蝶沢から下はシラビソの樹林、比較的歩きやすい登山道をたんたんと降る。途中であまり鳴かないが
時たまヒリと囀る、胸から腹が白い長い尾の小さな鳥を見つけるが名前が解からない。
(帰宅後調べると、サンショウクイと解かった)。

 三股からの登山者 何組かとすれ違う度に 頂上の紅葉の進み具合と槍・穂高の眺望を聞かれる。
紅葉は一週間ほど遅れているようだが、眺望は今日・明日は大丈夫でしょう と答える。
皆、ニコッとして足に力が這入るようだ。

 10時、予定通り三股登山口に降り立つ。早めに待っていたタクシーに乗り、55分ほどで
有明温泉に戻る。最後の2キロ程の料金をサービスしてくれて1万円。中房から燕岳に登り、
蝶ヶ岳から下山、4日間かけて歩いたのに、タクシーで僅か55分・・・。

 再び掛け流しの源泉で汗と疲労を流し、生ビールと馬刺し、わさび葉の醤油漬け、とろろソバの
昼食を楽しむ。
車を引き出し、穂高町のわさび漬け専門店で家内への土産を手に、浦和5時着。
不順な天候であったが 幾人かの岳人や雷鳥・小鳥との出遭い、久し振りのハイマツの海、
最終日のご来光、槍・穂高の眺望が素晴らしかった山行であった。

DSCF1541.jpg                           (写真はクリックして拡大してください)
                          
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