俄歩
高嶺を歩けなくなったいまでも 「自然と向き合える体力 自然を味わえる感性 自然に応えられる知力を大切にしたい」  という心根は持ち続けていたいものです
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俄歩人 (がふと)

Author:俄歩人 (がふと)
高嶺は2013年9月の槍ヶ岳が
最後となりました。
いまは 季節の移ろいを想い出
の地に求めて彷徨しています。
年に一度、写真集「岳と花」を
記載。
(さいたま市 浦和 在住)



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裏剱  (続き)
P1010573.jpg P1010604.jpg P1010611.jpg
仙人谷        大太鼓        黒部の怪人
                                   (写真はクリックして拡大して下さい)


「山行クロニクル No.59-2」 剱沢・仙人池・雲切新道・水平歩道     単独
’10.8.24(火)立山駐車場=室堂~雷鳥坂~別山乗越~剱沢小屋(泊)
    8.25(水)剱沢大雪渓~真砂沢~二股~仙人新道~仙人池ヒュッテ(泊)
    8.26(木)仙人池~仙人谷~仙人温泉(泊)
    8.27(金)仙人温泉~雲切新道~仙人ダム~阿曽原温泉(泊)
    8.28(土)阿曽原温泉~水平歩道~欅平=宇奈月温泉=立山駅
           =北陸・上信越・関越道=浦和

仙人谷・雲切新道・水平歩道

 翌朝の仙人池ヒュッテ。
今日は仙人谷を下降、 私は途中の仙人温泉までなので、
その先 阿曽原温泉まで雲切新道を行く人、逆に仙人新道を降って真砂沢方面へ
行く人を見送り ゆっくりと朝食を自炊。
疲労が溜まっているときは流動食、昨今流行のスープカレーなどが私のお薦めメニュー。
仙人池畔で景色に溶け込みながら 深山の息吹をも充足する。

 仙人谷を降る。
残雪期は要注意ルートであるが、既に雪の消えたこの時期は特に危険な個所は無い。

P1010573_20100830135036.jpg P1010561.jpg 仙人谷を降る

 谷に注ぎ込む支流の冷たい沢水を味わいながら 仙人温泉へ。

P1010563.jpg P1010572.jpg 秘湯・仙人温泉   源泉92度 含鉄・硫黄泉

 今日一日はこの湯を楽しみ、ここで滞留。
稜線上の他の小屋と異なり、ここでは豊富な「温泉と水」を一日中掛け流し。
何とも贅沢なものである。
湯船からは谷を越え正面に白馬三山、不帰岳の突峰、不帰の嶮を左肩に曳いた唐松岳が
望める。
ここから見る唐松岳は 意外やピラミダルな山容。
夕方 恒例の驟雨。

P1010568.jpg 左に杓子岳・白馬鑓、右に唐松岳

 午後、阿曽原から雲切新道を登ってきた方々が着き、
毎年不通になり修復を余儀なくされた従来の道と異なり、
仙人谷と雲切谷の間の尾根に切り拓かれた新道の様子を聴く。

 皆、一応に この雲切新道は夏に登る道ではない、ロープ・クサリ・ハシゴが
多く、急登 急登の連続とか・・・。
そして最後に あなたは降るのですからいいですね と付け加える。
 その夜は 5人の泊客。


 翌27(金)、晴天。
雲切新道を降る。源泉口を過ぎ、まずはちょっとした尾根の小ピークへの登りかえし。

P1010574.jpg P1010578.jpg
仙人温泉小屋       旭岳(左)と白馬岳(右)を覗く

 その後は降り 降り一辺倒の急下降。
重いザックで飛び込みそうなハシゴや頼りない補助ロープを握りしめ、ブナやカエデ、
オオカメノキの枝を掴みとにかく降る。

P1010579.jpg P1010583.jpg P1010577.jpg
雲切新道 点描             クモキリソウ

 降り続けること3時間余、
やっと関西電力の高熱隧道出口や仙人ダムが見え始める。
冷たい清流に降りて汗を拭う。
確かにこの新道を登るには相当の覚悟がいる と実感する。降りでよかった。

P1010580.jpg P1010585.jpg
壁面にトンネル出口    仙人ダム上流

 熊除けの外鍵を外し仙人ダム管理棟に入り、登山者案内表示板に従い、
鉄筋コンクリートの中の迷路を右左折・上下する。
資材運搬用のトロッコ軌道を横切り、熱風が吹きつけてくる高熱隧道の横を抜け、
再び、登山道(旧日電歩道)へ出る。
黒四ダムから白竜峡、十字峡をへつり歩く下ノ廊下とここで合流する。

 またまた炎天下。関電・人見平宿舎前で清涼飲料自販機を見つけ、購入。
1時間の昼食・大休止。
この自販機は嬉しかった。冷えた飲料で活き返る。

この関電の施設、冬季は約200人が滞在、保守点検に専念すると聞く。
さらに宿舎裏を尾根まで登り返し阿曽原温泉小屋へ向かう。
約1時間強、いまや廃道となってしまった旧来の道と出会い、黒部川沿いの小屋に降る。

P1010590.jpg P1010592.jpg
阿曽原の湯        小屋直下の黒部川

 まだ雪で下ノ廊下が通過できないこの時期の温泉小屋は、明日は週末というのに
登山者は少ない。テン場も1張。
湯で汗を流した後のその夜の泊客は 私を含めて9人。
そのうち男性1、女性3の私と同年輩4人のパーティは 明日 雲切新道を
登り池の平小屋まで。その後 剱岳北方稜線ルート、小窓の頭を越え、
三の窓を経て剱岳へ登頂する という。
関西在住男女4人で合計250歳を越え最高齢の女性は71歳。

 昨年は 夏季とはいえ前穂高・屏風岩や北穂高・滝谷を登攀したというクライマー達。
寡黙なエキスパートがポツリポツリ語る言葉は私の教科書だ。
素晴らしいキャリアの方々と酒と会話が弾む。

 元山岳警備隊で 此処の小屋主 Sa氏にも
雪で塞がれた下ノ廊下に高巻きのルートを架設したり、雲切新道を切り拓いた往時の
苦労などを 楽しく聴かせてもらった一夜であった。

(追記)
 Sa氏は 下ノ廊下は黒四ダムから阿曽原へ降るより、阿曽原から黒四ダムへ
遡る方がお薦めだ という。
その理由は以下の二つ。
1.夏から秋の黒四ダム観光放水時はどうしても放水のため、上流部は水の透明度が落ちる
2.長丁場のため 足が疲れた頃は、川までの落差が少ない上流部を通過する方が安全
ということであった。


 最終日、トロッコ鉄道欅平駅までの水平歩道を楽しむ。
4~500m下の黒部川を見下ろしながら、岩壁をくりぬいたり 掛け橋を付けた
5時間余りの水平歩道。

P1010600.jpg P1010601.jpg P1010602.jpg P1010611_20100830152617.jpg
水平歩道 点描

 晴天の下、折尾の滝直下で涼み、大太鼓の奇観を楽しむ。

P1010598.jpg P1010604_20100830153018.jpg
折尾の滝      大太鼓

 雪渓が崩壊、残雪のブロックが積み重なった志合谷は 砂防堤の裏側の冷水が足首まで
流れる真っ暗なトンネル(長さ150m)をランプで抜けたり、
黒部の怪人 三大岩壁のひとつ奥鐘山西壁を眺めながら時を忘れる。

P1010607.jpg P1010608.jpg P1010609.jpg P1010610.jpg
残雪の志合谷       志合谷トンネル  対岸に刻まれた水平歩道 

 この日、水平歩道ですれ違ったパーティは僅か3組。この暑さでは無理もない。
団体観光客や家族連れで賑わう欅平を後に トロッコで宇奈月温泉まで下り、
富山地鉄に乗り換え 車を置いた立山駅に帰り着いたのは 夜7時であった。

P1010612.jpg
トロッコ軌道車



 真夏の裏剱。
岩と谷、雪渓と温泉、そして日常見られない景観と幽玄の雰囲気を満喫した日々であった。
また 小屋泊りとて、幾多の登山者、そして小屋主の方々との会話が楽しく、
同年輩の逞しい方々からは まだまだ歩けますよ と勇気づけられた日々でもあった。

                           (写真はクリックして拡大して下さい)
(了)














 





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テーマ:登山 - ジャンル:スポーツ


この記事に対するコメント

ほんとうに山歩きでの
人との出会い、再会は
すばらしいですね。
山小屋の魅力です。
時間とお金に余裕ができたら
のんびり縦走したいです。
それまで体力をつけなければ・・・
【2010/08/30 23:59】 URL | ブル #- [ 編集]


 山小屋での談話、私はどちらかというと聞き役ですが・・・、
「ハッ」としたり、「なるほど」と思ったり、 滋味ある話には惹き込まれます。

 ブルさんは 富士に登るくらいですから体力は十分でしょう。
縦走となると 持続力と担荷力ですか・・・、
お若い頃ラグビーで鍛えた体はそう簡単に音をあげないと思いますが・・・。

 この次はどの辺りを歩かれるのか、楽しみです。

【2010/08/31 08:52】 URL | 俄歩人 #- [ 編集]

あこがれの山行
 今晩は
 又々、長期の山行 スゴイですね
 私は最初は調子よく歩けるのですが3日も山に居ると食欲は無くなり疲労困憊してしまいます。
 足し食後も貴殿の様な体力を保つべく、精進したいと思います。
 最近ブームの剣岳。ピークを極めずの縦走、余裕の山行羨ましいです。
【2010/08/31 20:07】 URL | noyama #B7q/.fmY [ 編集]

お帰りなさい!
美しい画像や、文章に思わず引き込まれました。
なんて素晴らしいところがあるのでしょうか。
奥深い山々、大きな雪渓、大自然の中の温泉、どれをとっても、
未経験のことばかりで、ワクワクしながら見せていただきました。

私の行ける山は、体力、技術で限界があります。
それでもどっぷりと山の魅力を楽しんでいますが、我歩人さんのブログで
未知の山まで楽しめて、とても幸せです。

うわ~、大変ですねー・・・と思いきや、その状況の中でしっかりと
楽しんでいる山男v-91の我歩人さんにv-307
【2010/08/31 20:27】 URL | popo #- [ 編集]

すれ違いの北アルプス
 こんばんは noyamaさん
平日にもかかわらず剱御前小屋も剱沢小屋も 剱岳へ登る人、降りてきた人達の会話で
満ちていました。まったく日本的メダカ現象です。
早朝の前剱への尾根道は 富士登山を彷彿させる眺めでした。

 黒部峡谷下ノ廊下はまだ雪でルート不通のため 残念ながら水平歩道を楽しんで
帰りました。

 日程的に入れ替わりの北アルプスだったようですが、それにしても薬師岳からの
絶景をものにされたことは幸運でしたね。
入山三日目ぐらいになると 私も白米はノドを通らなくなります。専ら流動食です。

 いつもコメントをありがとうございます。

【2010/08/31 21:54】 URL | 俄歩人 #- [ 編集]

すっかり痩せて帰ってきました
 こんばんは PoPoさん
背中のザックと同様、下山時は2キロ減りました。
いつも励ましのコメントをありがとうございます。

 秋に訪う人の多いルートですが、小屋の空いているこの時期に
静かな裏剱をと想い、歩いてきました。
剱岳の稜線に通ずる谷の急峻な雪渓は、眺めるだけで十分満足しましたし、
秘境の湯も楽しめました。

 黒部峡谷下ノ廊下は まだ雪で塞がれ、残念ながら通れませんでしたので
改めて計画したいと想っています。
【2010/08/31 22:06】 URL | 俄歩人 #- [ 編集]

拍手です!
 こんばんは!
我歩人さんらしいお山を楽しまれたようで、充実した山での日々が目に浮かびます。
剣岳は20歳の頃友達と歩いて以来、まったく近くを歩く事はありませんでした。
当時使った地図を手に歩かれた道を辿ってみました。 
以前、北岳で出会った方から紅葉の仙人池のCDを戴いてずっと憧れていた場所でもあります。
秘湯の湯も楽しまれ、天気もまずまずでほんとうに良かったですね。
記事をたっぷりと楽しませて戴きました。 お疲れさまでした!
【2010/09/02 23:30】 URL | キレンゲショウマ #- [ 編集]

こんにちは キレンゲショウマさん
 映画「点の記」による集中現象、真夏の富士のような剱岳を
横目に、剱沢の大雪渓の涼風を味わってきました。
 それにしても三の窓の雪渓は 真夏でも美しく、
裏剱・八峰の岩峰は一見の価値がありました。

 下ノ廊下の開通がまたれます。
いつも暖かいコメントをありがとうございます。


【2010/09/03 09:49】 URL | 俄歩人 #- [ 編集]


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