俄歩
高嶺を歩けなくなったいまでも 「自然と向き合える体力 自然を味わえる感性 自然に応えられる知力を大切にしたい」  という心根は持ち続けていたいものです
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俄歩人 (がふと)

Author:俄歩人 (がふと)
高嶺は2013年9月の槍ヶ岳が
最後となりました。
いまは 季節の移ろいを想い出
の地に求めて彷徨しています。
年に一度、写真集「岳と花」を
記載。
(さいたま市 浦和 在住)



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甲斐駒ケ岳
「山行クロニクルNo.13」
  甲斐駒ケ岳 2967m          単独
‘07年9月2日(日)~9月4日(火)   2泊3日
                                        (写真はクリックして拡大してください)
DSCF1422.jpg DSCF1410.jpg DSCF1425.jpg


9.2(日) 浦和=芦安ー北沢峠~仙水小屋(泊)
  3(月) 仙水小屋~仙水峠~駒津峰~駒ケ岳~駒津峰~双児山~北沢峠長衛荘(泊)
  4(火) 北沢峠=浦和

9.2(日)第一日目
 南アルプス北部で妻と登りそびれていた甲斐駒ケ岳に行こうと思い立ち、初秋の台風直前は晴れる
という経験と予報を基に家を飛び出した。
体力的には無理な黒戸尾根からのメインコースは止め、仙水峠から摩利支天を右に仰ぎながら
駒津峰に登り、北岳や仙丈岳を眺めながら双児山経由で降るという比較的楽なルートを選んだ。

 昔と異なり山梨県側芦安から先はマイカー規制となり、バス便の乗り継ぎが悪く北沢峠には
昼過ぎ着のため、仙水峠下の仙水小屋泊まりとする。
夕方から雲が切れ澄み渡った空となり、予報どおり夜は満天の星。天の川もはっきり流れていた。
これほどの星空は何処へ行ったとき以来であろうか。
無心に感嘆するのは寡っての少年の日に通ずるものがある。

この夜の隣人は20代初めの若者、難コース、体力勝負の黒戸尾根を越えてピークを踏み
ここまで下山、明日はまた仙丈岳へ登るとのこと。
10時間の登り一辺倒をこなす素晴らしい健脚だ。

9.3(月)第二日目
 朝、3時半 朝食。流石に早すぎて食欲が湧かない。4時過ぎには暗い中若い人達はヘッドランプを
頼りに、駒へ、仙丈へそれぞれ小屋をでるが、下山後北沢峠で泊まり、のんびり付近の黒河内の
森を散策するつもりの私は明るくなるまでコーヒーを沸かし携帯食料をつまむ。
5時30分、最後に小屋を後にする。

DSCF1408.jpg DSCF1409.jpg
仙水峠より         鳳凰三山の奥に富士山
   甲斐駒と摩利支天
   
 コメツガやシラビソの樹林帯を抜け仙水峠で摩利支天を仰ぎ見る。日本では武士の守り本尊とされ
る摩利支天だが、確かにここでは駒ケ岳を守る白い巨大な盾だ。
早川尾根~鳳凰三山への道を分けて、駒津峰への急登を喘ぐ。

 一気に標高差500メートル、思ったよりきつい登り。メボソやミソサザイなどの小鳥の囀りも聞こえない
古色の樹林帯。シラビソの切れ目ごとに、背後の地蔵岳のオベリスクを眺めては息を継ぐ。
やっとのおもいでハイマツ帯に出て、駒津峰(2752m)の頂上。

DSCF1411.jpg 駒津峰

 岩稜尾根の先、指呼の距離に、真っ白い雪を頂いているとまがうばかりの甲斐駒ケ岳の秀麗な
三角錐。東から南にかけて、鳳凰山塊を踏まえて富士が立つ、北岳・間の岳・仙丈岳、西には鋸岳、
その奥に中央アルプスの山々。
    
 北側の奥、北アルプス方面は霞がかかって判然としない。甲府盆地は雲海の下。
この雲が上がってこないうちに頂上に立ちたいと気持ちは逸るが小休止。
駒津峰の頂上には空身で往復するための先行者のザックが5~6個、私は頂上でゆっくり昼食を
作りこの晴天を味わう為、ザックを置かずにそのまま腰をあげる。
 
 このところ、八ヶ岳、火打山、薬師岳と6月、7月の山行は雨にたたられた日が多かった為、
初秋とはいえ風も無く大空一杯が太陽かと思えるこの晴天下の暑さを久し振りに五体全身に感じた。

 痩せた岩稜尾根のアップダウンを経て、巨石が不規則に屹立している六方石、
ここで岩稜を直登する道とダケカンバの中を摩利支天側に迂回する道と分かれるが、体力とザックの
重みを考え躊躇わずに迂回路を選ぶ。
    
 頂上は手の届く距離に見えるのに白砂のザレた登りは結構長い。摩利支天分岐、
ここから見る摩利支天は威圧感なく、単なる出っ張りに過ぎず寄り道する気になれない。
やはり下から仰ぐに限る。
    
 ポツポツ先行した人達が下山してくる。皆、晴天下の頂上を満喫した顔だ。
こちらはひたすら頂上を目指して汗をかく。花崗岩に他の岩石がネックレス状に貫入した独特の岩肌
を眺めながらザレた白い砂粒を踏みしめる。

 標準時間に遅れること1時間、10時20分頂上着。残っていた先行者は独り。
一等三角点は東に向いた不動明王の祠の脇にあった。そのほか頂上には幾つもの石碑、石版が
置かれていて麓民の信仰の厚さが伺われる。
   
 北岳、間の岳を始め遠く塩見岳や荒川三山まで見渡せ、仙丈岳のカールも美しくその形が見える。
鳳凰三山とその奥の富士山もくっきり。
それらの山々の頂上からはこの白崩山と古称される甲斐駒の白い三角錐がよく見えることだろう。

DSCF1414.jpg DSCF1415.jpg DSCF1417.jpg DSCF1416.jpg
山頂より千丈岳                      山頂の祠          鳳凰三山方面    
     
 オニオンスープとレトルト食品で昼食とする。はや先行者も下山したので、
真っ青な空と白い頂そして周囲の山々の緑を独占。
17年前と昨年、二度の北岳 いずれも雨中行であったが、昨年はキタダケソウを愛でることが
出来たし、15年前の仙丈岳は晴天の下カールの花畑が見事だった など想い出を辿りながら
間近の山々を眺め時を忘れた。

 体力の衰えを意識しているこの頃では、時間の自由の利く気儘な一人歩きを楽しんでいるが
こうした時を持てることに感謝したい。

 甲府盆地の雲が昇ってきたのが12時。裾野がツガやシラビソの黒い森に囲まれ、
頂上の白さが際立つ独特の山容を誇る甲斐駒、やはり登って良かったと満ち足りた気分で
下山にかかる。六方石から駒津峰付近で北沢峠から登ってくる人々4~5組とすれ違い挨拶を交わす。
駒津峰から双児山への降りは一面のハイマツ帯。
    
DSCF1422.jpg

 前面の北岳や仙丈岳が美しい。ただ北岳は小太郎山から見る方向になるので厚みが無くあの
どっしりとした重量感は得られない。むしろ鋭利な山容を見せている。
双児山へのちょっとした登り返しが苦しい。後は深い樹林の中を延々と降るのみ。
風は少し出てきたが実に静かな森だ。
   
 3時30分、北沢峠 長衛荘着。2時間近い頂上滞在時間を含めて10時間の行程。
この夜は前泊地も一緒だった同年輩のご夫妻と山行のあれこれを楽しく語り合い、8時就寝。

9.4(火)第三日目
 この時期の平日は9時45分までバス便がなく、2時間ほど峠付近を戸台方向や広河原方面の
シラビソの原生林を散策。手つかずの黒河内の森の中に朝陽が差し込む情景を堪能、
写真に収めた。

DSCF1423.jpg DSCF1425.jpg DSCF1428.jpg

 北沢峠から広河原への一番バスは北岳へ登る21人の大パーティで補助席まで満席。
広島から新幹線と夜行列車を乗り継いできたとのこと。隣席の中年のご婦人に北岳のあれこれを
問われ、説明。本日は御池小屋まででピークへ登るのは明日とか。
はやく登ってみたいという期待が表情に表れ、ここにも山が好きな人がいるなあと応援する。
芦安までバスに乗り継ぎ、浦和3時30分着。

DSCF1426.jpg                     (写真はクリックして拡大してください)

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テーマ:登山 - ジャンル:スポーツ


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