俄歩
高嶺を歩けなくなったいまでも 「自然と向き合える体力 自然を味わえる感性 自然に応えられる知力を大切にしたい」  という心根は持ち続けていたいものです
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俄歩人 (がふと)

Author:俄歩人 (がふと)
高嶺は2013年9月の槍ヶ岳が
最後となりました。
いまは 季節の移ろいを想い出
の地に求めて彷徨しています。
年に一度、写真集「岳と花」を
記載。
(さいたま市 浦和 在住)



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槍ヶ岳
 槍の穂先へ攀じるのは これが三度目。
過去2回、燕岳から表銀座を歩いてきたときも、上高地・槍沢から登ってきたときも
ガスと小雨で頂上からの眺望は得られなかった。

 何としても晴れた穂先から 過去に歩いた北アルプスの峰々を眺めたいとの一心で
新穂高温泉へ向かった。
3000m級の山歩きはこれが最後になるかもしれない との想いも背中を押す一因だった。

 今回選んだルートは まだ未踏の槍平から飛騨沢を経る飛騨乗越への登山道。
新穂高温泉から蒲田川上流、右俣谷へ分け入るのは 滝谷岩壁登攀記録のロマンに誘われ
滝谷出合まで歩いた若き日以来である。

P1050003.jpg 槍ヶ岳     (写真はクリックして拡大して下さい)


 日本の3000m峰は、ウイキペディア編集によれば21座(ジャンダルムなど主峰に
付随するとみられるものを除く)。
そのうち私がまだ歩いたことのない3000m峰は 富士山と南アルプス南部の5座、
逆に複数回登った峰は 北岳・間の岳・奥穂高岳・北穂高岳・涸沢岳・前穂高岳・槍ヶ岳など。
また 妻を伴って歩いた峰も北岳・仙丈ヶ岳・立山など5座を数える。


槍ヶ岳の十字路

                  P1040998.jpg
                  北鎌尾根

P1040984.jpg      P1050004.jpg     P1040999.jpg
西鎌尾根               穂先              東鎌尾根            

                  P1040992.jpg
                  大喰岳・中岳方面(南鎌尾根) 
                    

「山行クロニクル No.91」  槍ヶ岳        単独
’13.9.9 (月) 新穂高温泉駐車場~右俣谷~白出沢~滝谷出合~槍平小屋(泊)
    9.10(火) 槍平~南沢出合~千丈乗越分岐~飛騨乗越~槍ヶ岳山荘(泊)
    9.11(水) 山荘~穂先~大喰岳稜線散策~山荘(連泊)
    9.12(木) 槍ヶ岳山荘~飛騨沢~槍平~新穂高温泉

 いつもの単独行ゆえ、不慮の出来事に備えたザックが重い。
白出沢までの右俣谷林道は 朝のうちは日陰になっていていくぶん涼しい。

P1040930.jpg P1040931.jpg P1040933.jpg 右俣谷林道を歩く

 奥穂高岳白出のコル・穂高岳山荘で出遭った単独行女性が まだ残雪に埋もれた
この白出沢の急登を攀じたときの苦労話が懐かしく甦る白出沢出合で大休止。

P1040937.jpg P1040938.jpg 白出沢出合

 ここから登山道、中崎尾根・奥丸山を左手に眺めながら高度を稼ぎ、滝谷出合へ。
雄滝の奥につきあげる滝谷岩壁と少し雲の流れる北穂のドームを見上げる。
北穂頂上から覗きこんでもこの迫力には届かない。
RCC創設者で 大正14年、この滝谷岩壁を初登攀した藤木九三氏のレリーフの前で
ゆっくり休む。

P1040947.jpg   P1040951.jpg   P1040952.jpg
滝谷出合           岩壁と北穂ドーム   藤木氏のレリーフ

 西に奥丸山(2439m)、東に南岳(3032m)、そして北が飛騨沢・槍ヶ岳(3180m)
の十字路に槍平小屋がある。
テン場は4張のみ、小屋泊りも私を含めて11人。静かな星空の夜だった。
健脚者は直接 南岳小屋か槍ヶ岳山荘まで一気に登ってしまうようだ。


 9.10(火)P1040954.jpg 槍平小屋の朝

 奥丸山を踏み千丈乗越を経て槍ヶ岳へ向かう男女4人組と 南岳西尾根を登り南岳を経て
槍ヶ岳へむかう男性単独行者をそれぞれ見送り、独り飛騨沢へ向けて歩きだす。
本日も晴天。
ナナカマド・ベニバナイチゴ・タケシマランの実が赤く輝き、トリカブトやリンドウのブルーが
爽やか。
飛騨乗越と千丈乗越の分岐で大休止。

P1040957.jpg 奥丸山 遠くに焼岳・乗鞍岳

P1040962.jpg 千丈乗越への急登をこなし西鎌尾根稜線に出た登山者

P1040959.jpg 前方に槍の肩の小屋を抱く稜線が見えてきた

P1040964.jpg 千丈乗越と飛騨乗越分岐

 森林限界を越え 草もみじと涼風が初秋を奏でる。
が、飛騨沢の急登に息が上がる。

P1040967.jpg 振り返ると 奥丸山からの稜線の上に抜戸岳と笠ヶ岳

P1040971.jpg 西鎌尾根の奥に鷲羽岳の美しい姿

 午後に入り 稜線にガスがかかり始め、飛騨乗越に飛び出した時は既に真っ白。
今日の穂先は見送り まずは槍ヶ岳山荘にザックを降ろす。

P1040972.jpg P1040973.jpg
ガスの飛騨乗越     槍の穂先

 越中や飛騨側はまだ明るく 視界は広い。

P1040975.jpg 硫黄尾根の奥に黒部源流の盟主達 水晶岳(黒岳)が黒い

P1040976.jpg 西鎌尾根の奥に黒部五郎・双六・三俣蓮華・薬師・鷲羽の峰々

P1040978.jpg 逆光の常念岳~蝶ヶ岳、眼下にヒュッテ大槍と殺生ヒュッテ

 幸いにも 布団1枚にひとりという余裕で夜を過ごす。
9.11(水) 本日も晴天

 槍の穂先を攀じる
P1050002.jpg P1040979.jpg P1040980.jpg P1050001.jpg

 ご来光を見る人、ここを基点に次の峰を目指す人々の早めの登攀をやり過ごし
今回は 晴れた山頂から静かに峰々を眺めるのが主目的の私は 混雑が去った8時に登頂。
20人ほど集える山頂に 私一人だけという奇跡の30分を味わう。

P1040983.jpg 山頂 奇跡の30分

 
 全方位の山並みを撮り それぞれ歩いた頂とルートの想い出を辿る。

P1040984_201309141731381d5.jpg P1040985.jpg P1040986.jpg 西方面

P1040998_201309141735090ba.jpg P1040997.jpg 北方面

P1040996.jpg P1040999_20130914173709332.jpg 東方面

P1040991.jpg P1040992_20130914173917c38.jpg P1040993.jpg 南方面
前穂北尾根・北穂・奥穂・西穂

 これほどの充足感に満たされた頂は久しぶりであった。
「室堂~五色ヶ原~越中沢岳~薬師岳~太郎平」行
「鹿島槍ヶ岳~爺ヶ岳~赤沢岳~スバリ岳~針ノ木岳」行
「燕岳~大天井岳~常念岳~蝶ヶ岳」行
「太郎平~雲の平~黒部五郎岳~太郎平}行
「双六岳~三俣蓮華岳~鷲羽岳」行
「北穂高岳~涸沢岳~奥穂高岳~前穂高岳}行
 などなど、かって歩いた北アルプス行の想い出が蘇り 止まらない。

 しばらくして 次に登ってきた登攀者の方と記念写真を撮り合い、1時間ほどの山頂滞留に
終止符。
山荘まで降りても興奮冷めやらず、双六小屋から笠ヶ岳へのこの先の行程を取りやめ
午後は 次々と穂先を攀じる人々をぼんやり眺めたり、中岳への稜線散策で過ごした。

9.12(木) 小雨 P1050005.jpg

 山荘を後に ガスと小雨の中を新穂高温泉まで、飛騨沢~槍平を経て一気に下山。

P1050006.jpg P1050013.jpg P1050014.jpg P1050015.jpg
秋模様

 さいたま浦和の自宅に帰着したのは もう深夜をまわっていた。
老いに向かった身体の疲労は著しかったが、「晴れた穂先に立ちたい」という想いが
やっと適った自己満足の山行であった。
                   (写真はクリックして拡大して下さい)









































 
















  




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この記事に対するコメント
貪る時間
いい時間をお過ごしになりましたねぇ。
本当に、その日の計画を変更されたのは正解だと思います。
おひとりの頂上滞在の間、何を思われたのでしょうか。
天に用意された、珠玉の時間だったのではないでしょうか。
深く思いの中にも、人それぞれの物語があり、それは時間で測りがたいものだと思います。

一度三俣蓮華の頂上で一時間以上、風景を貪りつくしたことがありましたが、まさに、時の流れが遅く感じました。

新穂高からの右股の道、私の大好きな槍へのアプローチです。写真の数々、懐かしく、また新鮮な思いで楽しませていただきました。
ありがとうございました。

まだまだ、余韻に浸れる時間と思いますが、また新しい山旅にも、期待しています。


どうか、お気をつけてお過ごしください。。

【2013/09/14 20:10】 URL | devilman #- [ 編集]

ありがとうございます devilmanさん
 奥丸山から千丈乗越へも またdevilmanさんが最近歩かれた南岳西尾根にも
チャレンジできませんでした。
結果として単独峰どまりとなりましたが、それでも十二分に充足した山行でした。

 北アルプス主要縦走路のひとつひとつが走馬灯の如く甦るひとときを
味わうことができた珠玉の頂となりました。
しかし、時は戻らず、もうあの尾根を歩くこともないだろう・・・という現実にも気づかされるひとときでもありました。

 早々のお心こもるコメントをありがとうございました。


【2013/09/14 21:49】 URL | 俄歩人 (がふと) #t3k.yir2 [ 編集]


  こんばんは!
体調を整えられ、ホントにいい日に槍の穂先に立たれましたね。
かつていくつもの山々を歩かれ、槍の頂からそれらを眺めながら
色々な思いが走馬灯のように甦り、その時の想いが鮮明に浮かんで
来たのではないでしょうか?
それにしても何とも言えぬ素晴らしい光景ですね。 

いいコースを登られたのですね。こんなコースもあるのかと、地図を眺めました。
上高地から入るコースしか頭にありませんでしたから・・・
もう40年も前に、天上沢をつめて槍ケ岳へ登った思い出に浸らせて
頂きました。

 来シーズンは懐かしの友と3回目(多分)槍ケ岳を訪ねる事になります。
北アルプスはトンとご無沙汰なので、楽しみです。
【2013/09/15 22:03】 URL | キレンゲショウマ #- [ 編集]

ありがとうございます キレンゲショウマさん
 三度目にしてやっと視界の拓けた頂に立つことができすっかり満足しました。
新穂高温泉~槍平~飛騨沢のルートは今回が初めてでしたが
いまの私のような体調の方にはお薦めかもしれません。

 お若い頃とはいえ、通行が難しいバリエーションルートの湯俣から天上沢を
つめられたとは・・・素晴らしい想い出ですね。
槍の穂先での晴雨の違いはまさに雲泥の差です。ご友人との登頂が気象に
恵まれますよう祈っております。
 コメントをありがとうございました。
【2013/09/15 23:13】 URL | 俄歩人  #t3k.yir2 [ 編集]


こんにちは。
登頂おめでとうございます。しかも山頂独り占めとは。
これ以上の時間を見つけるのは難しそうです。

すばらしい写真の数々、槍ヶ岳への憧れが
また強くなりました。今年歩いた鏡平から双六への
稜線も槍から見るとこうなんだ、西鎌尾根はこういう風に
見えるんだと私も感動しました。

来年、再チャレンジです。
【2013/09/16 07:49】 URL | ブル #- [ 編集]

ありがとうございます ブルさん
 過去2度の山頂はガスと雨で視界が拓けず 残念な思いをしましたので、
まさに万感の想いがありました。
峰々を眺め追憶に耽り、無人の頂に寝転び、蒼空を見上げた至福のひととき。
何故か子供の頃の自宅屋根の上での情景が思い浮かびました。

 西鎌尾根からの穂先、今回は残念でしたが、午後になるといつもガスに巻かれ
視界の悪くなる穂先ですから、健脚のブルさんなら 距離の短い槍平経由で
肩の山荘まで一日で直登、 翌朝の穂先を楽しみ そして西鎌尾根を双六へ
降るという馬蹄型もよいかもしれませんね。
 コメントをありがとうございました。



【2013/09/16 10:03】 URL | 俄歩人  #t3k.yir2 [ 編集]

凄いです!
3回目の槍ケ岳挑戦、青空の槍穂先で眺めた北アルプスの山々は素晴らしかったことでしょう。
写真を見ていて伝わってきました。3000m級の山は登ったことがなく私などは温泉に浸りながら「すごい山!」と遠くから眺めてるだけです。 山は苦労して登った人しか味わえない感動と達成感がありますね。これからも体力、気力にあった登山を楽しんで下さい。
単独での北アルプス登山、お疲れさまでした。
【2013/09/16 10:05】 URL | ミッキー #- [ 編集]

Re.凄いです!
 ミッキーさん コメントをありがとうございます。
混雑する真夏の山小屋を避けじっとしておりましたが、天候の長期予報を
睨んでの山行を楽しみました。
やはり 私は北アルプスが好きです。

 右手は相変わらずですし、足も弱くとりわけバランスの悪さはどうしようも
なくなりました。
が、時と場所を選んでまだまだ歩きたく思っております。
またご一緒する機会を持ちたいものです。 ご心配いただいたChaserさんにも
どうぞよろしくお伝えくださいますようお願い致します。

 東西南北の尾根の十字路に屹立する槍ヶ岳、穂先からの眺望は
素晴らしいものでしょう・・・!


【2013/09/16 11:01】 URL | 俄歩人  #t3k.yir2 [ 編集]

自由時間が欲しい
 今晩は
 天候に恵まれた槍ヶ岳、良かったデスね
 穂高駅付近に車を置き、中房温泉から表銀座・槍ヶ岳・上高地というルートで
 この秋に2泊3日で槍ヶ岳に登ろうと計画しておりましたが
 野暮用多く来年の課題としました
 紅葉前の平日なら可なり空いていることが解りましたので
 来年は何とか、9月の平日に行きたいと思っております
 
【2013/09/16 18:09】 URL | noyama #B7q/.fmY [ 編集]

こんばんは noyamaさん
 ひさしぶりに充足した山行となりました。
初秋とはいえ 平日3日の表銀座の行程は 現役の方にはなかなかきついこと
でしょう。それに車の回収経費が結構大変ですよね。
かって私も蝶ヶ岳三俣下山口から中房まで タクシーで車の回収に1万円以上
かかりました。ご計画の縦走では車2台は欲しいところです。

 今年の沼田はリンゴが豊作と聞いておりましたが、今日の台風直撃の被害は
如何でしたでしょう。気になりました。
コメントをありがとうございました。








【2013/09/17 00:07】 URL | 俄歩人  #t3k.yir2 [ 編集]

素晴らしい登頂
登頂おめでとう。最近、投稿がなく心配していました。天候に恵まれ素晴らしい登山でしたネ、私は高度恐怖症で写真を見るだけでも足が震えそうになります。山頂からの360度の景観、自分が山頂に立っている気分になりました。薊・りんどう等、美しいですネ。これからも無理をせず山行きを楽しんで下さい。11月にお会い出来るのを楽しみにしています。
【2013/09/26 17:13】 URL | y.ito #- [ 編集]

こんばんは itoさん
 盛夏の北アルプスは人が多く 山小屋も満杯なので敬遠して
おりました。
久方ぶりの山歩き、やはり年齢を強く意識させられました。

 これからは旅情をくすぐられる季節ですね。
お互い元気に旅を続けられますよう願っております。
いつも拙ブログを気にしていただき コメントをありがとうございました。


【2013/09/26 22:09】 URL | 俄歩人  #t3k.yir2 [ 編集]


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