俄歩
高嶺を歩けなくなったいまでも 「自然と向き合える体力 自然を味わえる感性 自然に応えられる知力を大切にしたい」  という心根は持ち続けていたいものです
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俄歩人 (がふと)

Author:俄歩人 (がふと)
高嶺は2013年9月の槍ヶ岳が
最後となりました。
いまは 季節の移ろいを想い出
の地に求めて彷徨しています。
年に一度、写真集「岳と花」を
記載。
(さいたま市 浦和 在住)



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雨飾山
P1030168.jpg           (写真はクリックして拡大して下さい)

 頚城山塊の西のはずれ新潟県と長野県の県境、火打山や妙高山などは歩いたことがあるが、
この山塊ではまだ未踏の 花の金山と紅葉の雨飾山がある。
小谷・妙高林道の金山登山口から乙見山峠を越えて妙高高原・笹が峰牧場へは
私の想い出に残る峠道である。

 金山(2245m)はやはり花の季節 初夏に歩く山、この季節はブナやダケカンバの
黄葉を求めて雨飾山(1963m)を訪れた。

「山行クロニクル No.72」 雨飾山     単独
’11.10.18(火) 浦和=中央道・長野道豊科IC=小谷村雨飾高原キャンプ場(車中泊)
    10.19(水) キャンプ場登山口~湿原~ブナ平~荒菅沢~笹平~山頂
             ~荒菅沢~登山口=糸魚川=名立(泊)

 糸魚川街道を小谷(おたり)温泉口で乙見山峠を越え笹が峰牧場を経て北国街道へ抜ける
小谷・妙高林道に入り、懐かしの小谷温泉を通過する。
この小谷温泉「山田旅館」、古く明治の時代、ドイツで開催された温泉博覧会に日本を代表する
温泉として4湯「別府・登別・草津・小谷」が選ばれ出品された由緒正しき湯、
この湯に惹かれ北アルプス行(山行クロニクルNo.12「室堂~五色ヶ原~薬師岳~折立 縦走」)
の帰りに泊ったことがある。

 今日は素通りし さらに山中の雨飾高原キャンプ場の駐車場まで入山した。
時刻はまだ3時半、登山中の車3台と今夜ここに泊る車も既に2台。
明日は晴天との新潟地方の予測故、明朝までには2ヶ所併せて50台ほど駐車できるスペースも
埋まってしまうものと思われる。

P1030102.jpg P1030103.jpg P1030108.jpg 駐車場周辺の秋模様

 キャンプ場や登山口付近を散策、とりどりの秋の色がはじける風情は さらに北へ北へと
旅情を誘う。
登山道とは異なる杣道で小さな腰篭に採取したきのこをいれた仙人と見まごう地元の年輩の方に
出遭った。長い間の山深い里の生活が育んだ風貌、いい顔をしていらっしゃる。
白く長い睫毛と小皺に囲まれた瞳には カントの哲学書でも読み終わった後のような物憂げな
けだるさをも宿している。
少し立ち話。
紅葉盛りの先週末の土日は400人を超える入山者があったそうな。
山頂直下の笹平から頂上への登山道は人で溢れ、山頂を踏めなかった人もあったという話。

 駐車場には清潔なトイレ付きの休憩舎があり、そこで夕食を自炊。
満天の星の下で早めの就寝。

P1030106.jpg 登山道図

 早朝5時、既に駐車場は満車状態。
やはり平日とて若い方々は少ないようだ。ヘッドランプの明かりで三々五々登山口へ向かっている。
軽い朝食を摂り、明るくなった6時30分 登山道へ分け入った。

P1030109.jpg P1030111.jpg 小川ながら岩魚も泳ぐ湿地帯

 大海川河畔の湿地帯を抜け ブナ林に入り高度を稼ぐ。
春夏秋冬いつの季節もブナの森は山を歩く者に落ち着きと感動を与えてくれる。
黄色と褐色のパッチワークのような早朝のブナ林は静かだった。

 眼下に荒菅沢を覗きこみ、眼前に布団菱といわれる岩肌を眺め、その上部に笹平への
ガレ場と雨飾山山頂を仰ぐ高みで小休止。
パステルカラーの中に朝の陽を浴びて輝くダケカンバの白木がとりわけ美しく
深まりゆく秋を感じさせてくれる。

P1030117.jpg P1030118.jpg 荒菅沢を覗きこむ

P1030114.jpg 笹平へのガレ場と雨飾山を仰ぐ

 いったん 荒菅沢まで一気に降ろされ、山登りの不条理を味わう。
ここからが笹平までの急登。

P1030119.jpg 沢から長方形の布団菱を見上げる

 鈍足ゆえ 何組もの健脚の方々をやり過ごし、急登のハシゴとガレ場をこなして笹平で一服。
指呼の間の山頂を眺める。

P1030124.jpg P1030127.jpg 笹平への急登

P1030132.jpg P1030130.jpg 笹平と笹平から眺めた山頂部

 小さな双耳のある雨飾山山頂、10時40分着。標準CTより遅れること1時間以上。
南峰に三角点と山頂標識があり、北峰には石仏と祠が鎮座している。
360度の展望。
北は 姫川河口と日本海、東に 荒々しい焼山と女性的な火打山、妙高山は金山に隠れて見えず、
南に 高妻山、南東遥かに南アルプス白峰三山が逆光に霞んでいる。
西は 北アルプスの連山、白馬岳が近く槍ヶ岳は遠い。

P1030139.jpg P1030153.jpg 南峰

P1030140.jpg P1030154.jpg 北峰

P1030144.jpg P1030146.jpg P1030147.jpg
姫川河口と日本海    焼山と火打山        尾根伝いに金山

P1030158.jpg P1030143.jpg P1030151.jpg
逆光の高妻山       北アルプスの連山

P1030148.jpg 緑の笹平を見下ろす

 この山頂の広さでは 週末は登山者で溢れ、頂上を踏めなかった方もいたという昨日の話を
十分納得した。南峰も北峰もそれぞれ30人程度で一杯になってしまう。

 パンとコーヒーでくつろぐ。
秋のやわらかな陽光、微風、眼下の秋色と笹平の緑、青空と日本海を分ける白い雲。
久方ぶりに絶巓に立ち、心の安らぎを噛みしめる。

 12時過ぎ 往路を再び降る。

P1030159.jpg P1030160.jpg P1030164.jpg 笹平からの降り

P1030168_20111021162425.jpg 山頂を振り返る

P1030171.jpg P1030172.jpg ブナ林で憩う

 登頂時より人の少なくなった下山道、木々や苔石も身近に感じられ 漂泊の秋の雰囲気に浸る。
平日でも50台以上、100人を超える登山者で賑わった紅葉の雨飾山。
まさに秋色深い一日であった。

 妙高高原側 笹が峰への林道状況を小谷村役場へ問い合わせたところ、まだ不通とのこと。
乙見山峠越えを諦め、この日は日本海の幸を求めてさらに北へ向かった。
                                 (写真はクリックして拡大して下さい)



































 


河は眠らない
P1030066.jpg P1030071.jpg P1030078.jpg
初雪の越後駒ケ岳    碑           銀山平周辺図     (写真はクリックして拡大して下さい)

 谷川岳や白砂山など 上・越県境の峰々にも雪が来たと報じられた翌日、
秋色まぢかの魚沼や奥只見を訪れた。
7月の豪雨と晩夏の台風で痛めつけられたこの地方の道路は あちこちで崩壊、
関越道小出ICから越後駒ケ岳登山口の枝折峠への道もまだ通行止めのままであった。

 唯一、通行可能なトンネル・シルバーラインを経て 銀山平へ。
青年時代貪り読み 少なからず啓蒙された好きな作家、開高 健のこの地での執筆や
魚の保護活動を偲んで建てられた「河は眠らない」の碑を改めて訪れ、
北ノ又川流域を散策した。
「上を見て生き、下を見て暮らす」など、氏の言葉の幾つかが思い浮かぶ。

P1030077.jpg P1030074.jpg P1030072.jpg
永久禁漁河川・北ノ又川 と 「河は眠らない」 の碑

P1030068.jpg かっての「銀の道」案内板

 平日、初秋の銀山湖(奥只見ダム湖)周辺は すすきが風に揺れ、
見上げると 駒ケ岳、小倉山や道行山など、わずかに雪をいただく山頂が望めた。

P1030067.jpg P1030083.jpg P1030085.jpg
小倉山・道行山      銀山湖            北ノ又川流入口

 夜は かって守門岳や浅草岳を歩いた折にお世話になった栃尾又温泉に泊り、
低温のラジウム泉で時を過ごした。
源泉37度、少なくとも1時間は浸かっていないと身体が温まらないこの湯は
本を読みながら入浴するのに良い。

P1030092.jpg P1030086.jpg P1030089.jpg P1030100.jpg
栃尾又の大杉                   秘湯を守る会 会員「自在館」とその湯


 翌日は雨模様。
会津へ抜ける六十里越えの252号線も大白川村から先が崩壊で年内は通行止め。
予定していた田子倉湖畔の鬼ヶ面山への登山を諦め、ドライブ行に切り替える。

 遠く栃尾の里から加茂市を迂回し、阿賀野川沿いに阿賀の里に入り
雨に煙る西会津から 磐越道・東北道経由で帰宅した。

 まだ、錦秋は来ない。一足飛びに冬景色に移りそうな山の気配を感じた日であった。
この三連休、北アルプスの嶺々は秋色を求める登山者で溢れることだろう。

P1030096.jpg                        (写真はクリックして拡大して下さい)

(’11.10.4~10.5)