俄歩
高嶺を歩けなくなったいまでも 「自然と向き合える体力 自然を味わえる感性 自然に応えられる知力を大切にしたい」  という心根は持ち続けていたいものです
プロフィール

俄歩人 (がふと)

Author:俄歩人 (がふと)
高嶺は2013年9月の槍ヶ岳が
最後となりました。
いまは 季節の移ろいを想い出
の地に求めて彷徨しています。
年に一度、写真集「岳と花」を
記載。
(さいたま市 浦和 在住)



最近の記事



最近のコメント



最近のトラックバック



月別アーカイブ



カテゴリー



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



ブログ内検索



RSSフィード



リンク

このブログをリンクに追加する



九重連山
「坊がつる讃歌」への山旅

P1020415.jpg P1020440.jpg P1020483.jpg P1020512.jpg
久住山           坊がつる           ミヤマキリシマ       大船山
                                         (写真はクリックして拡大して下さい)


 久住山頂から周囲の峰々を眺め、ミヤマキリシマに染まる大船山から 坊がつるの原を見下ろし
九重の連山と対峙する・・・そんな心躍る景色を想い描き入山した。
が、思いもかけぬ梅雨入り しかも活発化した前線に伴う強風、
山中三日間とも横殴りの雨とガスで視界はえられず、新緑と白い烈風に沈んだ日々だった。

 この九重の峰々、関東や中部には見られない独特の雰囲気をもった山域であった。
急峻さの無い穏やかな山並みで、青森の八甲田、山形の月山、栃木の那須三山の山塊に近い。
違いは針葉樹林が全くないことであった。

 まさに「坊がつる讃歌」に詠われる花と雪と原と湯宿が似合う山域であった。
また、この山中では 一度もチリンチリン、カランカランという鈴や鐘の音を聞くことが
なかった。
熊が生息していないこともあろうが、熊情報の無い山域でもやたら音をたてる輩の多い本州
とは異なり、小鳥の声や風の調べを楽しむ風情が好もしかった。


「山行クロニクル No.68」 九重連山     単独
’11.5.21(土) 埼玉・浦和発  片道走行距離 1300キロ
    5.22(日) 大分・湯布院温泉(泊)
    5.23(月) (由布岳登山 中止) 久重・牧の戸温泉(泊)
    5.24(火) 牧の戸温泉=牧の戸峠~沓掛山~西千里浜~久住山~久住分かれ
            ~北千里浜~法華院温泉山荘(泊)
    5.25(水) 法華院温泉~坊がつる~段原~大船山~段原~北大船山~大戸越
            ~坊がつる~法華院温泉山荘(泊)
    5.26(木) (三俣山 中止)法華院温泉~雨ヶ池越~タデ原湿原~長者原
            ~牧の戸峠=久重町・壁湯温泉(泊)
    5.27(金) 壁湯温泉=福岡市内(泊)
    5.28(土) 福岡=浦和   往復走行距離 2700キロ

九重連山 ルート図 (昭文社 エアリア図)
    
IMG_20110529170645.jpg


5.24(水) 久住山
 雨模様の牧の戸峠に駐車、リョウブの木の間、沓掛山への登山道を歩きはじめる。
途中の展望地から眺める沓掛山の緑の斜面に ミヤマキリシマのピンクがちらほら。

P1020392.jpg P1020389.jpg P1020397.jpg
硫黄山・星生山方面   牧の戸登山口       沓掛山

P1020400_20110529171900.jpg P1020401_20110529171949.jpg 沓掛山のミヤマキリシマ

P1020399.jpg P1020402.jpg P1020403_20110529172216.jpg
沓掛山から久住山方面をのぞむ   越えてきた沓掛山を振り返る

久住山への登山道 点描
P1020404.jpg P1020406.jpg P1020411.jpg P1020413.jpg

P1020415_20110529172755.jpg 久住山 山頂

 久住山の山頂は叩きつける風雨で立っていられない。
風の唸りとレインギアを叩く雨音だけの世界、指呼の間の中岳も硫黄山の噴煙も
一切が白く閉ざされていた。
この状況では 中岳も同様であろうと廻るのを止め、久住分かれまで降り、
硫黄山を巻いて北千里浜へ向かった。


北千里浜への登山道 点描
P1020418.jpg P1020420.jpg P1020422_20110529173945.jpg P1020423.jpg

 諏蛾守(すがもり)越への分岐で、明後日歩く予定の三俣山への道を確認し、
貝殻の化石の混じる山中の雨水が川のように流れる砂浜を法華院温泉へ向かう。

P1020425.jpg P1020427.jpg 北千里浜のミヤマキリシマ

P1020429.jpg P1020430.jpg P1020431.jpg 法華院山荘とその湯

 今日の山中、および山荘で幾組かの登山者と会話を楽しんだが、
この気象条件下で山中を歩く人は 皆、遠征組のみ。
千葉県や愛知県、愛媛県などからの方方だった。
いつでも登れる地元の方々にはほとんど遭わなかった。

 ウイスキーを楽しみながら、山荘内のパノラマ写真を転写し、
晴れていたら このような景観を味わえたのに・・・と、残念な想いを新たにした。

P1020438.jpg





5.25(水) 大船山
 一瞬、薄日が覗いたものの すぐに期待は裏切られ、坊がつるの原を横切り
大船山の登山口に着く頃は 雨風が強まってきた。
遠くでカッコウの澄んだ声が原を渡り、近くの灌木ではウグイスが その存在を
声であらわにしている。

P1020440.jpg P1020443.jpg
一瞬陽が射す坊がつる        コイワカガミ

大船山登山道 点描
P1020493.jpg P1020448.jpg P1020453.jpg P1020447.jpg  
登山口           実生              新芽             新緑

P1020457.jpg P1020461.jpg P1020482.jpg P1020466.jpg
コイワカガミの群落                     クサボケ          オオカメノキ

P1020476.jpg オオカメノキの白い落花で埋まる登山道

 中腹の「段原」への道は、立派なリョウブの並木、
というよりリョウブの林を切り拓いた道であった。
時折、コイワカガミの優しい色合いやクサボケの鮮やかな朱色に目を奪われ、
オオカメノキの白い花敷きで登山道が彩られ 心が和む。

P1020467.jpg P1020469.jpg P1020472.jpg 大船山 山頂

 山頂は視界無し。
少し降り 風雨を避け 一服。
山荘で見た写真を想い浮かべて、またの機会があるだろうか・・・と、考える。

段原まで戻り 北大船山への尾根道を辿る。
蕾溢れるミヤマキリシマの切開けを横になって分けながら「坊がつる讃歌」を口ずさむ。

 嗚呼、何度でも言う。
大船山の頂から 坊がつるの原を経て久重の山並みを眺めてみたかった。

P1020502.jpg 晴れていれば・・・  (山荘で転写)




P1020477.jpg P1020478.jpg P1020479.jpg 北大船山への尾根道

P1020483.jpg P1020485.jpg 大戸越(うとんこし)への花道

P1020487.jpg P1020489.jpg 大戸越と平治岳



 「四面 山なる 坊がつる~」と詠われる、その坊がつるから眺めた峰々
P1020496.jpg P1020494.jpg P1020506.jpg P1020512.jpg
三俣山           平治岳            北大船山          大船山

  
P1020498.jpg P1020499.jpg 坊がつるの原を流れる筑後川の源流


 夕方の法華院温泉山荘、昨日よりも登山客は少なく、12~3人。
この気象ゆえ停滞し、温泉三昧の方々も見受けられた。

 今回のこの久重連山の旅、
ブログを通しての友人「九州・湯友クラブ(Author 山野氏)」からご紹介を受けた
「山歩きを始めたよ(Author つる姫さん)」と明日の最終日は
すがもり越から三俣山を歩く計画であった。
しかし、明日も雨でしかも稜線の風速は20m以上との予報に 変更の連絡を入れ、
下山口の長者原でお目にかかることにした。

 いつでも登れる地元の方に 土砂降りの雨中行は申し訳なく
快く了解していただいた。



5.26(木) 三俣山 中止。
 朝から強風と豪雨、三俣山には登らず、
雨ヶ池越からタデ原湿原への下山道を風雨に揉まれながら辿る。

 雨ヶ池はまだ水が溜まっておらず、沢のように雨水の流れる登山道を降る。
久し振りにギンリョウソウに出遭い、長者原に近づいた頃から、樹相の豊富な樹林帯
となり、ミズナラ、ハリギリ、ミズメ、ブナ、カエデなどが目につく。
吃驚したことに一群のヒノキにも出遭った。

P1020513.jpg P1020517.jpg P1020518.jpg P1020524.jpg
強風と豪雨の坊がつる   雨ヶ池          ギンリョウソウ        タデ原湿原

 長者原では チャーミングで明るく若々しい「つる姫」さんに迎えられ、
瀬の本高原で昼食と会話を楽しみ、いつの日かの山での出遭いを念じてお別れした。
山仲間との出遭いの機会を創って戴いた「山野氏」と わざわざ雨中を長者原まで
来ていただいた「つる姫さん」に厚く御礼申し上げます。


 その夜の宿は 久重町・壁湯温泉(日本秘湯を守る会 会員)に泊まる。
P1020534.jpg P1020530.jpg P1020537.jpg
川べりの露天風呂      内湯           エゴの木の白い花



 遠征最終日は福岡で九州在住の友人達と再会、
夜更けまで酒肴と会話を楽しむことで この山旅を締めくくった。
山と人と酒、そして湯に恵まれた山行だった。

P1020427.jpg                (写真はクリックして拡大してください)