俄歩
高嶺を歩けなくなったいまでも 「自然と向き合える体力 自然を味わえる感性 自然に応えられる知力を大切にしたい」  という心根は持ち続けていたいものです
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俄歩人 (がふと)

Author:俄歩人 (がふと)
高嶺は2013年9月の槍ヶ岳が
最後となりました。
いまは 季節の移ろいを想い出
の地に求めて彷徨しています。
年に一度、写真集「岳と花」を
記載。
(さいたま市 浦和 在住)



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西上州の岩峰
 群馬県(上州)というと やはり温泉。北部では四万、法師、水上、宝川、片品、
丸沼 西部では万座、草津、尻焼・花敷、鹿沢 中部では伊香保、赤城など
枚挙にいとまがない。
 山も同様に新潟県境の谷川岳を筆頭に、福島・栃木県境の尾瀬周辺の峰々や
また長野県境 草津白根から志賀高原方面などが著名であるが すべて北部。

 南部、埼玉との県境付近は西上州と呼称され、著名な温泉もなければ 妙義山以外に
全国から岳人を集める山も少ない。
しかし、昔から釣師が遡上していた南牧川や神流川の上流のこの地域は
鹿岳・立岩・碧岩・シラケ山・赤岩尾根など、岩峰があちこちに屹立し、その山腹
石積みの崖に集落がへばり付く独特の風景を見せている。

 いまや全国一高齢者比率の高い村として話題となっている南牧村、そこに屹立する
岩峰群のひとつ 立岩(たついわ)を登ってみようと星尾の集落を訪れた。
峠道はまだ桜が満開、この地で「ひとつばな」と呼称されるアカヤシオのピンクが
雑木林の中ひときわ鮮やかであった。

P1000927.jpg 立岩             (写真はクリックして拡大して下さい)


「山行クロニクル No.53」 立岩(たついわ) 1266m  単独
’10.4.25(日) 浦和=関越・上信越道下仁田IC=南牧村=線ヶ滝
            荒船山・立岩登山口~小尾根~立岩山頂~荒船分岐~威怒牟畿不動
            ~線ヶ滝=星尾の里(泊)

 この西上州の岩峰群は、穂高のような高度とボリュウム感に欠けるが 特異な景観であり
独特の雰囲気を醸し出している。
立岩、1266m。上部の岩場は痩せ尾根が続くとのこと。

 期待を胸に 朝 9時過ぎ線ヶ滝の駐車場に車を止め、直登コースで登頂後
荒船分岐を経て下山する周回ルートを選んだ。

 スギの植林を抜けると明るい雑木林の小尾根。
ケヤキ、カエデ、コナラ、ミズナラにクリの木も混じっている。

P1000930.jpg 小尾根

 切り立った岩峰を仰ぎながら北側へ捲き、斜度はさほどでもないが 左右の岩壁から
落下した小石で埋まったクサリのついたルンゼを攀じ登る。
左手には氷が付着し、朝陽に溶けた氷片が落下している急斜度のルンゼも見られた。

P1000932_20100426222733.jpg P1000933_20100426222823.jpg 氷の張りついたルンゼ

 後続が居ないから良いようなものの 石を落とさぬよう気を使う。
次いで難所と言われるバンドをへつる。
登山靴の幅より少し余裕がある程度の狭い岩棚、しっかりクサリが付いている。

P1000934.jpg バンドをへつる

 さらに痩せ尾根が立岩の鞍部に向かって続く。
途中、一服。まだ雪を戴いた八ヶ岳南峰を眺める。

P1000937.jpg P1000945.jpg P1000942.jpg
痩せ尾根                          八ヶ岳南峰を望む

 ほどなく西立岩山頂。
ベンチがひとつの狭い頂、先着の中年男性二人組と一緒に昼食、歓談。

P1000946_20100426230601.jpg 山頂  手前の経塚山(荒船山)の奥に浅間山

P1000948.jpg 経塚山と浅間山をズーム

 指呼の間に経塚山、あの軍艦にも似た高原台地状の荒船山の全容は
この尖峰の経塚山に隠れて見えない。
雪の消えた浅間山から噴煙がわずかに立ち昇っている。


 荒船山に向かって下山、再びよく踏まれているが背中のザック幅ほどの
痩せ尾根とクサリ場を交互に辿る。
この細尾根、北アルプスの岩稜と違って立ち木があるため、突風に吹かれても
恐怖感は無い。

P1000958.jpg P1000959_20100426232623.jpg P1000961.jpg P1000962.jpg
痩せ尾根          クサリ場                       立岩を振り返る

 ツツジやリョウブ、ミズナラのこの尾根は紅葉の季節はとりわけ美しいことだろう
と想像する。遠くにはちらちらと白木のカンバが陽に光る。
荒船分岐を過ぎ、威怒牟畿(いぬむき)不動近くまで降ると春の野草が目につくように
なった。

P1000964.jpg P1000973.jpg
ネコノメソウ         ハシリドコロ

 威怒牟畿不動の東屋の手前に 特徴あるも名無しの滝が落下。
その落差50~60mか。流量が少なく、下部は霧のように霧散している。
滝裏、オーバーハングした岩壁には荒れ果てた不動明王像があった。
(後刻、星尾の宿で尋ねたら 土地の人は威怒牟畿不動の滝と呼んでいるとのこと)

P1000969.jpg 威怒牟畿(いぬむき)不動の滝

 1時過ぎ 登山口帰着。晴天の日曜日なのに直登時に2組、下山の周回路で1組のパーティに
出遭ったのみで静かな岩山の一日だった。
近くの名勝 線ヶ滝を訪う。
こちらの滝は落差40m、まさしく一本の線を引いてアカヤシオの中を落下
していた。

P1000977_20100427001130.jpg 線ヶ滝

 帰途、星尾の集落で体験型民宿を標榜する宿「かじか倶楽部」に
その夜はお世話になった。
相客は やはりさいたま市から蕎麦打ち体験にきた娘さんひとり。
宿のご主人を交え、山菜やトロコンニャクを肴に和やかに歓談し、
西上州の夜を味わった。

P1000995_20100427002722.jpg P1000989.jpg P1000988.jpg P1000983_20100427003002.jpg
星尾の里 点描                          


P1000925.jpg 立岩を去る              (写真はクリックして拡大してください)





翌日の 笠丸山 素描
P1010002.jpg P1000997.jpg P1000998.jpg




テーマ:登山 - ジャンル:スポーツ

菰釣山
 神奈川県の丹沢山塊の西のはずれ、山梨県との県境に甲相国境尾根と
呼ばれる山塊が連なっている。
昔の清流、道志川に沿った静かな国道413号線(道志みち)を
山中湖に向かって走る南側の河畔には幾多のキャンプ場が点在している。

 道志川の北、山梨県側に連なる道志山塊の盟主 御正体山(1681m)
と対峙して、神奈川県側に 菰釣山(こもつるしやま 1379m)がある。
早春の静かな山を求め、この菰釣山を歩いた。

P1000817.jpg 菰釣山 遠景         (写真はクリックして拡大してください)

「山行クロニクル No.52」 菰釣山 (こもつるしやま)  単独
’10.4.6(火) 浦和=中央道相模湖IC=道志みち=道志の森キャンプ場
           ~西沢登山口~ブナ沢乗越(甲相国境尾根)~菰釣山
           ~キャンプ場=浦和

 満開の桜と清流を眺めながらのんびりと走れる朝の道志みちは
山へ向かう気分を少しずつ昂揚させてくれる。
道の駅「どうし」で支流 三ヶ瀬川に沿って山裾に分け入り、西沢林道入口の
道志の森キャンプ場に車を止める 9時。
 他には多摩Noが1台駐車、私と同年代の男女6人組が先行していった。

P1000772.jpg 三ヶ瀬川 道志の森キャンプ場

 この三ヶ瀬川の西沢、その川岸にフサザクラやキブシ 山側にスギやヒノキが
植林された林道を1時間ほど歩き、ブナ沢の登山口へ。
沢の橋が流されたためか 木材を積んだ軽トラックが駐車していた。

 そのため 沢沿いではなくちょっとした高巻きを強いられ登山道に分け入る。
人工林から自然林に入ると笹原とリョウブ ミズナラ、ブナなど
樹間の明るさが際立つ。

P1000775.jpg P1000776.jpg P1000778.jpg P1000811.jpg
登山道 点描

P1000779.jpg P1000780.jpg

 ブナ沢の徒渉を三度繰り返し、涸れ沢の急登にかかる。
高みに尾根の稜線を望みながら汗をかく。
御正体山のうすい影を背に感じながら ササを分け、ブナ沢乗越
(甲相国境尾根)に達したのは 歩きだしてから約2時間後であった。

P1000803.jpg P1000783.jpg P1000801.jpg P1000800.jpg
霞む御正体山       乗越             城ヶ尾山方面        県界尾根

 ブナ林に霧の流れる尾根を辿り、菰釣避難小屋前で一服。
小奇麗な小屋の中には先行6人組のザックが置いてあった。
さらに林床の笹を分け山頂へ。
立派なコシカケや小鹿の死骸に驚きながら、山頂直下で先行6人組と
すれ違い 挨拶を交わす。 今日この山は私を含めて7人のみのようだ。

P1000791.jpg P1000785.jpg
サルのコシカケ      斃れた小鹿

 霧が流れ ブナの大木が墨絵のように視界を覆う。
対峙する指呼の間の御正体山も見えない。
狭い山頂は 時折 シジュウカラの囀りが聞こえるだけ。
樅の木沢の頭を経て三国山へと続く尾根道を眺め、静謐に満ちた
ひとときを味わう。

P1000795_20100407133911.jpg P1000793.jpg P1000794.jpg P1000796.jpg
菰釣山 山頂

P1000798.jpg


 鐘釣ではなく珍しい菰釣という山名、諸説あるようだが いずれも
山頂に菰をつるして生活したり、戦の合図に菰を用いたということからのようだ。

 この先も天候の回復は望めず 12時過ぎ、同じルートで下山にかかる。
少し霧の晴れた涸れ沢で 先週 孫娘からプレゼントされたオーデュポンの
バードコールを鳴らし、小鳥たちと会話。
一緒に歩くようになったら・・・と 夢を膨らませる。

 ブナ沢の橋は既に新しく架けられ靴を濡らさずに済んだ。

P1000806.jpg P1000808.jpg

 この菰釣山は 御正体山と同様、積雪の季節が良さそうな山であった。

P1000820.jpg バードコール             (写真はクリックして拡大してください)


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