俄歩
高嶺を歩けなくなったいまでも 「自然と向き合える体力 自然を味わえる感性 自然に応えられる知力を大切にしたい」  という心根は持ち続けていたいものです
プロフィール

俄歩人 (がふと)

Author:俄歩人 (がふと)
高嶺は2013年9月の槍ヶ岳が
最後となりました。
いまは 季節の移ろいを想い出
の地に求めて彷徨しています。
年に一度、写真集「岳と花」を
記載。
(さいたま市 浦和 在住)



最近の記事



最近のコメント



最近のトラックバック



月別アーカイブ



カテゴリー



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



ブログ内検索



RSSフィード



リンク

このブログをリンクに追加する



白毛門
谷川連嶺馬蹄型の東側 白毛門に登り、純白に光り輝く一ノ倉沢大岩壁を眺めたい・・・と雪山装備を
整え土合へ向かった。

2009_0330白毛門0057 帰途 土合駅からの白毛門       (写真はクリックして拡大して下さい)

’09.3.28(土)浦和~上越線 土合~山の家(泊)
    3.29(日)山の家~土合橋~松ノ木沢ノ頭近く~土合橋~登山指導センター~清水街道旧道
           ~一ノ倉沢出合~山の家(泊)
    3.30(月)土合~浦和

 3月23日から雪崩危険地域への入山禁止となった谷川連嶺、例年より積雪量は少なく2m前後の情報。
いまひとつ新潟県側の気象条件が芳しくないが、この土日を逃すと入山者が少なくなりそうなので、
ワカンにアイゼン、ピッケルを持ち 上越線の特急に乗った。
単独行なので 申し訳ないが先達のトレースを当てにさせて貰うつもりであった。

 高速自動車道は今日から割引開始とて 関越道はスキー行で渋滞が見込まれる為 久し振りの電車
である。
土合駅、下り線の地下ホームからは名物のトンネル階段を462段登り地上へ。
2009_0330白毛門0002 462段

 夕方ではあるが東側は晴れ、白毛門の清々しい白峰が美しく迎えてくれる。直下のジジ岩・ババ岩
まで見えていた。両岩を巻く急登尾根は真っ白に輝き、あの斜度では雪崩が怖そう。
無理であれば せめて松ノ木沢ノ頭までは攀じ、雪に覆われた谷川岳東面壁を眺めようと想う。

 土合山の家に入る前に 土合橋から白毛門・朝日岳の尾根取り付き口まで下見に歩く。
積雪は1m~2m程度。今日入山したと思われる二人のワカンのトレースがありホッとする。今晩
降らなければこのトレースが頼りになりそう。
上越のマッターホルン、大源太山も薄い西日に映えていた。

2009_0330白毛門0013 2009_0330白毛門0015 2009_0330白毛門0007 2009_0330白毛門0008
尾根取り付き口      突峰の大源太山      白く輝く白毛門       山の家

 割り当てられた2階の部屋からは 谷川岳の双耳のひとつ オキノ耳の白いピークが小さく覗けた。
夕食時、中年男女3人組と青壮年男性3人組、本日の宿泊客7人が顔を揃える。
女将さんの話では 土日でも最近は宿泊する登山者は少なく、皆 車で来てロープウエイ駐車場に
車中泊するようだ。常連さんが屯していた昔とは随分異なった雰囲気になっている。

 中年組は翌朝早く白毛門へアタック、青壮年組は谷川岳へ向かうそうだ。食事が終る頃から雪が
舞い始めた。
ワールドカップ予選サッカー、日本対バーレーン戦中継の終る頃には 外は吹雪になっていた。


 翌朝 5時、まだ雪は降り続いている。前日 除雪され地面が剥き出しになっていた駐車場にも
30cmほどの積雪。
昨日のトレースは埋まってしまったであろうが、5時半にハーネスとカラビナに身を固めた男女3人組、
それにこの雪で谷川岳を諦め 青壮年組も白毛門に向かうと6時半過ぎに山の家を後にしていった。
新しいトレースが私を助けてくれそう、感謝する。

 ツェルトや自炊用具、燃料など部屋に残し 装備を軽くして7時出発。
小雪の中、土合橋から新しいトレースを辿る。昨日写した取り付き口の標識は既に新雪の下に埋もれて
しまっていた。適度に締まった雪でツボ足で歩ける。
急登の尾根をピッケルの支点を頼りにキックステップで攀じる。東黒沢の谷を覗きながらブナやミズナラ
の林を息を整えながら登ること1時間半、小休止。

2009_0330白毛門0022 2009_0330白毛門0032

 斜度のきつくなった標高1100m付近で風雪強まり、アイゼンを着ける。さらに1時間、先行者の
トレースも薄まり、吹雪でホワイトアウトに近い状況。掃っても掃ってもレインギアに雪が張り付く。
松ノ木沢ノ頭まで この先1時間強であろうが、この吹雪では一ノ倉沢の東面壁の大展望は ほぼ
絶望であろうと思うと 気力が萎えてきた。
前日、妻に作ってもらったサンドイッチを熱いコーヒーで流し込み、10時過ぎ、撤退と決めた。

 吹雪の中 踏み抜いたり滑ったり 降りの怖さを噛締めながら、黙々と降ること2時間余り。
尾根の取り付き口まで戻り、谷川岳登山指導センターへ向かう。
少し風雪が弱まってきたので、昨日のように夕方近くは晴れ間が覗くかもしれない と淡い期待を
胸に指導センターから清水街道・旧道を一ノ倉沢出合までトレッキングし、あの扇を拡げた大岩壁を
直下から再び見上げたいと念じた。

 アスファルトの旧道は山側で2m、谷側で1m程度の雪の斜面になっていたが トレースはついて
いた。昨年8月、真夏の太陽に焼き上げられながら 蓬峠から降ってきたことが思い出される。
マチガ沢出合、この岩壁で逝ってしまった岳人のレリーフのなかに若き女性の姿が・・・。

2009_0330白毛門0039 2009_0330白毛門0036
レリーフのひとつ     旧道からみた松ノ木沢

 モノトーンの静かな白い道を坦々と歩いて 期待の一ノ倉沢出合着、1時40分。誰も居ない。
小雪が舞う一ノ倉沢大岩壁はガスの中。時折、衝立岩正面壁の雪が張り付かない黒壁がぼやーと
垣間見える程度。 しばし佇み 無常の空と灰色の空間を見上げる。

2009_0330白毛門0044 P1010220.jpg
一ノ倉沢出合        昨夏の一ノ倉沢

 今日は 松ノ木沢ノ頭からも この出合からも雪の大岩壁を拝することが出来なかった。
真冬の大岩壁は心の中からも遠ざかっていくようだった。

 4時 山の家に帰り、先行した2パーティの様子を聞く。
いずれもジジ・ババ両岩から先の急登尾根は 雪崩そうでチャレンジできなかった ということだった。


2009_0330白毛門0050
旧道から湯檜曽川を臨む                           (写真はクリックして拡大して下さい)










 

テーマ:登山 - ジャンル:スポーツ